商品開発物語

 
きっかけはネットショップの新企画
 
フィールドベースの代表・草本は、もともとネットショップの運営をしていました。そのショップで新たに産地直送の商品を扱うことになり、提携先を探して農家を訪ね歩いていた時のことです。ある農家の畑に大量の果物が捨てられていることに気が付きました。素人目に色や形はきれいですし、目立った傷もありません。それなのに、どうして廃棄してしまうのでしょう?
 
不思議に思って訊いてみると、捨てられていたのは“規格外品”で、形が不揃いだったり小さな傷があったりするのだそうです。「出荷しても値が付かないので、畑の肥やしにするしかないのだ」と言われました。
たとえ規格外であったとしても、農家の皆さんが丹精込めて育てた作物です。ほんの少し条件に合わないと言うだけで廃棄しなければならないなんて…。作り手にとっては胸の痛い話です。
 
さらに聞いてみると、“規格外品”だからといって、味や品質に変わりはないと言うではありませんか。それなら、手軽に食べられる加工品にして販売できるのではないか? そんな話を農家の皆さんとするようになり、一緒に商品開発を進めることになりました。
 
 
 
 
農家の皆さんと協力して製品を開発
 
ドライフルーツを選んだ理由

果物の加工品と言えば、ジュースやジャムが一般的です。比較的簡単に加工でき、長期保存にも向いています。開封してすぐ食べられるという手軽さも魅力です。
その一方で、似たような取り組みが全国各地で行なわれているのも、また事実。日本中の産地と対等に渡り歩くためには、何らかのオリジナリティが必要です。
「他とは一線を画す形で、果物のおいしさを伝える方法はないだろうか?」
私たちは手を変え品を変え、思いつく限りの加工方法を試しました。そして、当時は輸入品が大半を占めていたドライフルーツにたどり着きました。
 

従来のドライフルーツとの違い

健康志向の高まりとともに、栄養価の高いドライフルーツにも注目が集まっています。でも「ドライフルーツは口に合わない」とお感じの方も多いのではないでしょうか?
海外から輸入されるドライフルーツには、漂白や殺菌の目的で添加物が加えられています。これは安全性を確保するために必要な処置なのですが、添加物特有の匂いで味を損なってしまうという側面があります。また見た目を良くするために着色料が使われているものもありますし、残留農薬が気になるといった声も耳にします。
 
私たちが作るドライフルーツには、添加物や着色料をできるだけ使わないようにしています。もちろん原材料の品質にもこだわり、産地は九州に限定しています。契約農家から直接仕入れることで、簡単に生産者の情報を追跡できるようにもしました。
 
ドライフルーツを国内で生産すれば、わざわざ添加物を使う必要はありません。小さなお子様からお年寄りまで、幅広い世代に召し上がっていただけるように、従来品よりも柔らかくてジューシーなドライフルーツを目指しました。
 

 
作りたいのは「しっとり食感、しっかり果実感」

ドライフルーツはジュースと違って加工に時間がかかります。そのうえ私たちは添加物や着色料を使わないと決めていました。当然、砂糖などの調味料も極力使いたくありません。そうなると素材の味が製品のクオリティを大きく左右することになります。
私たちは果物の品質が最高潮を迎える旬の時期に収穫し、熟しすぎたり痛んだりする前に加工することで、果実本来の味をギュッと閉じ込めたいと考えました。そのため、開発が進められるのは1年のうち3か月~4か月程度。収穫期が終わってしまうと開発もストップせざるを得ません。
 
ここ数年、ネット上では家庭で作るドライフルーツのレシピが数多く紹介されています。たいていは100℃のオーブンで1時間~2時間ほど乾燥させる方法のようです。確かにそういった方法でも、おいしいドライフルーツは作れます。しかし私たちが目指す“ジューシーなドライフルーツ”にすることはできません。
 
ネットのレシピのように高い温度で乾燥させると、カチカチに硬くなってしまいます。しっとりとした食感にするためには、ある程度の水分を残さなければなりません。しかし乾燥が甘ければ、すぐに腐ってしまいます。添加物を使わなくても長期保存ができ、程よい柔らかさと濃厚な果汁感をドライフルーツで実現するのは、なかなかに骨の折れる仕事です。
 

開発に5年を要した「潤いドライフルーツ」

誰でも簡単に噛み切ることができ、新鮮な果物の味が瞬時によみがえる! ……そんなドライフルーツに仕上げるために、私たちは12時間~20時間かけて、じっくり乾燥させます。また乾燥の工程に合わせてこまめに温度を調節し、程よく水分を残します。この技術を確立させるために、約5年もの歳月がかかりました。
 
ていねいに研究を続けたことで、得られたメリットは他にもあります。私たちの開発チームには生産農家の皆さんも参加しています。彼らは果物の味を誰よりも知り尽くしている、いわばスペシャリストです。年月を重ねるにつれて、ドライフルーツに適した果物の酸味と甘みのバランス、カットの厚み、ひいては農場の中で最も適した果物が収穫できるエリアまで突き止めることができました。
 
 
 
 

全国から喜びの声が届くように
 
高いクオリティを追求できる理由

私たちは製品開発から製造・販売まで、すべて自社で行なっています。開発と製造は福岡県朝倉市に構えた工房の担当です。既存の工場に製造を依頼すると、一度に大量の発注が必要になりますが、私たちの工房ならば少ないロットで製品を作り始めることができます。高い品質にこだわれるのは、この工房のおかげです。
 
オリジナルブランド「九州良果」を作り、さまざまな果物農家と協業することで、バラエティに富んだ商品を扱えるようにもなりました。たくさんの人に果物のおいしさを届けるため、現在ではジュレやフルーツティーといった商品も充実させています。
 
現在「九州良果」は、首都圏や福岡を中心に百貨店での催事販売を積極的に行っています。美容や健康に関心の高い女性から特に高い支持を頂いており、期間中に何度も足を運んでくださるお客様もいらっしゃるほどです。百貨店をはじめ都内のセレクトショップなど、九州良果の商品を常に置いてくださるお店も増えつつあります。
 
 
 
 
果物のおいしさを日本中に伝えたい

九州良果のドライフルーツはそのまま食べてももちろんおいしいのですが、お酒との相性が良く、おつまみとしての需要も増えています。夜寝る前にヨーグルトに付け込んで翌日の朝食にしたり、炭酸水に浮かべてフルーツウォーターにしたりと、アレンジを楽しまれる方も多いようです。
 
大切な方への贈り物としても選んでいただけることが増えました。特に春から夏は季節限定のジュレ・セットが好評です。パウチ型の容器なので、冷蔵庫から取り出して、手を汚すことなく口に運べます。冷凍するとムース状になるので、きめ細やかなシャーベットとしてもお召し上がりいただけます。
 
2020年1月に開設したオンラインショップでは、場所や時間に捕らわれることなく、九州良果のラインナップをご購入いただけます。季節限定の商品やギフトセットなどもご用意し、全国の皆様にフルーツのおいしさをお届けしています。